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弘前路地裏探偵団の設立にあたって
弘前の街は、地図上で見るとごく平坦な土地のようですが、歩いてみるとかなり変化に富んでいます。弘前城の西の方は急な崖となっており、東には土淵川が流れて一段低く北の方へゆるやかに続きます。この高台に築かれたお城を中心に街割りが長方形のブロック単位に実施され、地形の変化をうまく活かして街全体を防衛の構えにしたのが弘前の特色です。出城を兼ねて至宝に配した寺院街、街の要所を固めた侍町、多くの人々の往来で賑わった商人町、町はずれや裏町の職人町などに今もなお往事の姿をしのぶことができます。
街並みの所々に見かける明治・大正時代の建物が物語るように、弘前の人は昔から新しいものを積極的に取り入れながら、反面、古いものを大切に保存してきました。この一見矛盾とも思われる性格が、津軽の風土の中で見事に融合されて独特の都市像を創造してきたと言えるのではないでしょうか。この融合と調和の精神こそが弘前の特色であり、近年、全国的に人気の高いその土地の人情や文化に触れる「街歩き」観光こそ、弘前に似合う観光の姿であると思います。
2006年7月29日~10月22日に吉井酒造煉瓦倉庫で行われた奈良美智+graf「A to Z」展に全国各地から多くの来場者で賑わいました。この時、同展覧会を見に来弘した他県の若者と話をする機会に恵まれました。その若者は、「弘前の街は不思議だ。狭く細い道を歩いていると突然目の前に煉瓦の教会や洋館に出くわす。そうかと思うと和菓子屋さんがたくさんあるし、街のど真ん中に川が流れ、その川端には雰囲気のいい私鉄が走っている。まるでラビリンス(迷宮)の中を彷徨っているようで楽しい」と言っていました。
弘前の観光のシンボルは言わずと知れた弘前城です。観光客の100%が必ず立ち寄ると言っても過言ではない名所です。弘前市民の多くも観光客に勧める観光地の優先順位をつけるなら弘前城を1番に持ってくるでしょう。しかし、これまで私たちは弘前城のスケールの大きさにばかり目を奪われ、知らず知らずのうちにもっと身近なところにも観光資源がたくさんあるということを見落としていたのではないでしょうか。
奈良美智展を訪れた若者が「楽しい」と言った感想の中にそのヒントが隠されています。我々がつまらないものと思いこんでいるものこそ、実は弘前らしい観光資源の原石なのではないでしょうか。
観光客は非日常を求めて旅に出ます。旅先の文化と自分たちの暮らす街の文化を照らしあわせることで知的充足感が満たされ「旅をしている」という実感が沸くのです。
その街の生活文化が凝縮した場所、それは我々が生活を営む街の中や路地裏です。「路地裏にこそ、その街の文化の花が咲く」を合い言葉に、我々弘前路地裏探偵団は今立ち上がります。
弘前路地裏探偵団は、弘前ならではの生活文化やそのルーツを調査し、そこで得た知識や情報を楽しみながらラビリンスガイドとして伝える探偵の集まりです。メンバーは公務員、弘前市内のホテルの支配人、WEBデザイナー、OL、主婦まで幅広い世代の探偵が揃っています。
弘前の街の中に新しい風を吹かせ、今年12月に予定される東北新幹線全線開業に少しでもお役に立てれば幸いです。
平成22年3月15日
弘前路地裏探偵団
団長 鹿田 智嵩
(社)弘前観光コンベンション協会
TEL0172-35-3131
FAX0172-35-3132